NHKの「」チコちゃんに叱られる!」でやってました。番組の答は「鉄がサビたがっているから」で、これを中学校の理科の言葉にすると、「鉄は酸素と化合しやすいから」となり、テストの答としては合格なのですが、番組としてはあまり面白くなかったかと思います。
そもそも物事の起こる原因や理由は複数あり、そのうち一つを面白く切り取るところが、この番組の良さだと思うのですが、サビに関しては一番教科書的な答を選んでしまった残念な感じがします。
それでは、他にどんな切り口が考えられるのでしょうか。例えば、①空気中の水分や塩分の影響、②同じ鉄でもステンレスはサビないのはなぜか、③そもそも空気中に酸素があるからいけない、などが考えられます。番組中で①には触れられていて、「塩分は水を保つ力があるからサビやすくなる」と解説されていましたが、これはテストの回答でも0点ではないかと思います。一般の人にわかりやすい答にしたかったのかもしれませんが、例えば砂糖水ではサビやすくならないことが説明できません。夏休みの自由研究で、「どういう液体をつけると鉄がサビやすくなるか」なんてやってみるといいと思いますが、中学生レベルであれば「電解質溶液はサビやすい」という答が導ければいいのではないかと思います。当然もっと奥深い内容はありますが。
②は鉄中の添加物や不純物の問題で面白いのですが、大学レベルの話になるのでとばして、③に行きましょう。番組の中では「自然界では鉄はサビる」と言っていましたが、正確に言うと「地球の表面では」と限定すべきです。実は地球の内部も含めて、宇宙全体ではさびていない鉄のほうが多いと思われるのです。鉄がサビるのは、地球の大気中に酸素があるから、酸素は生物の光合成でできる、つまりチコちゃん風の言い方をするならば、「鉄がサビるのは、生命が誕生したから」としたほうが番組的には面白かったと思うのですがどうでしょうか。