コロナウイルスの感染が広がっています。亡くなった方もいて、一連の政府の対応を非難する人もいるようですが、こういった非常時に完璧な対応を求めるのも少し酷かな、と思います。非難するよりも事態が落ち着いた後に「こうした方がもっと良かった」と建設的な評価をする方が今後のためになるのではないでしょうか。
数学の問題を解くときも同じようなことが言えます。解き方がいくつかある問題も多いのですが、通常解答書にはベストな解き方だけが書かれています。教える方が常にベストな解き方をすることを求めると、教えられる方は「解き方を覚える」という方向に向かってしまい、応用が利かなくなる傾向があるように思います。ベストではなくても、試行錯誤を繰り返しながら自力で回答にたどり着く練習も必要です。しかし自己流の解答ばかりやっていると、テストのときは時間が足りなくなるし、何より簡単に解けたときの達成感・爽快感を味わうことができません。ベストな解法試行錯誤とベストな解法のバランスをうまくとることが、大事だと思います。
普段数学の問題を解き慣れている私でも100%ベストな解き方ができるわけではありません。試行錯誤の繰り返しです。数学の問題と違って人命が掛かっているときに試行錯誤などと言っていいかという意見もあると思いますが、専門家・担当者だからベストなことができるはずだ・すべきだ、という考え方は現実的ではないように私は思います。
今年は小論文で受験した生徒が二人いたので、教える方も難しかったですが、発見もありました。野菜を手軽に摂る方法として「スムージー」というのは今どきの子の発想ですよね。オリンピックのマラソンの対策として「新たに春季オリンピックを開催する」というアイディアは結構現実的でいいと思いました。小論文としての評価はアイディアそのものより、それをいかにうまく表現するかが勝負だとは思うのですが、発想が面白いと採点する人も楽しいと思います。
普通のテストが必要な知識を正確に素早く取り出すことが要求されるのに対し、小論文だと持っている知識や経験のありったけを絞り出さされる感じがします。家事に例えるなら、普通のテストが日々の炊事・洗濯で、小論文は大掃除や引っ越しになるでしょうか。中高生だと知識や経験の総量が少ないので、大掃除が簡単に終わりすぎて、なかなか字数が埋まらないことが多いようです。いろいろ頭をひねった結果、記憶の引き出しを整理する効果もありそうで、生徒にはいい経験になったのではないかと思います。
小論文の書き方として、回答を書く前にメモや下書きを書いた方がいいかどうかは意見が分かれるところのようです。もちろん、生徒の特性や論文の内容にもよりますが、一応ざっと少し長めの下書を書いて、縮めながら清書するというのが、私はやりやすいと思います。
今年のセンター試験の問題を見てみました。全部解いたわけではありませんが、おおむね例年通りの構成・難易度だったと思います。数学や英語は基本的な知識で十分対応できる内容ですが、問題量はそこそこあるので、スピードはそれなりに要求されます。国語は例年通り現国2問に古文1問漢文2問。古文漢文の知識がそんなに必要なのかという疑問も残りますが、受験生としては取り組みやすい構成なのかもしれません。個人的に今年は世界史を少し学びなおしていたつもりなのですが、思ったほど点が取れなかったので、また出直しです。
今年もセンター試験が行なわれました。来年から行われる大学入学共通テストは、民間試験や記述式の導入が見送りとなり、「せっかく準備してきたのに」と嘆いた受験生もいるみたいですが、条件はどの受験生も同じ、基本ができていれば多少のルール変更に動揺する必要はないと思います。来年の受験生がんばれ。
一方、陸上競技では厚底シューズを使った選手の記録が良すぎて、厚底シューズ禁止になるのではないかと言われています。厚底シューズ自体は市販品なので、どの選手も条件は同じかもしれませんが、厚底シューズを履かなければ勝てないというのであれば、「厚底シューズを履かなければならない」とルール改正されたも同然。メーカーの都合で競技そのものが変わってしまうというような事態は、あまりよくないと思います。大学入学共通テストは高校で学んだ基礎力を問うものだと思いますが、オリンピックを目指す選手たちはもっと上のレベルで戦っていると思うので、「せっかく準備してきたのに」という思いは受験生以上だと思います。
以前、私も陸上短距離用のシューズの開発のお手伝いをしたことがあるのですが、その時の担当者は「このシューズで100mで千分の何秒か縮まれば…」と言っていました。それに対して厚底シューズはマラソンでは分単位で記録が向上するようなので、100倍位の効果になります。さすがにやりすぎではないでしょうか。試合で厚底シューズが禁止されても、メーカーは一般ランナーに売れば儲かるのかもしれませんが、メーカーももう少し選手のことを考えたやり方があったのではないかと思います。選手ファースト、受験生ファーストで行きましょう。
いろんな教科を教える可能性があるので、今年は高校の世界史を学び直しています。自分が高校生だった40年前と比べると、「アレキサンダー大王」が「アレクサンドロス大王」になっているのはいいとしても、昔と内容も微妙に変わっているような気がします。なにより覚える項目の数がずいぶん増えているようなで、今の高校生は大変だなと思いつつやってます。
高校時代、選択科目は世界史・物理・化学を取っていましたが、卒業してからはむしろ日本史・生物・地学などの知識が増えた気がします。これらの科目の内容の方が日常で接する機会が多いからだと思います。世界史なんか勉強して何の役に立つのか、と思う人もいるかとは思いますが、シーザー(これもカエサル)とクレオパトラの話や中国の三国志など有名な話は知っておきたいものです。
クレオパトラはエジプトの女王ですが、ヨーロッパに限ると中世より前に女性はほとんど登場しません。この辺も世界史の興味深いところだと思います。