ウインタースポーツの季節になりました。カーリングも面白いですね。ところで、テーブルの上でコップを反時計回りに回転させて投げると右に曲がります(※1)が、カーリングは逆です。氷の摩擦は速度が小さいと大きくなることが関係しているようですが、詳しくはわかっていません。高校物理の知識でも考えられる現象ですので、次のようなサイトも参考にして考えてみてください。

https://www.rikkyo.ac.jp/news/2022/09/mknpps0000020uo9.html

ストーンの進行方向左側の一点が固着することにより左に曲がるという「旋回説」は一見説得力がありますが、実は間違いやすい欠点があります。思考実験をしてみましょう。ストーンの左側に壁を立てます。ストーンの周速と進行速度が同じならば、壁とストーンは滑らず転がりながらも一種の固着した状態になりますが、それでもまっすぐ進みます。滑らなくても固着する点の位置が変わっていけば直進でも右折でも可能なのです。これに対し「固着が一定時間同じ場所に留まれば左折する」という反論は考えられます。しかし、その場合遠心力により固着点からストーンに左向きに数百N(数十kg)程度の大きな力が加わる必要があります。それだけの力が一点に集中して固着していられるとはちょっと考えにくいです。私は「旋回説」ではうまく説明できない気がします。
私の仮説は「周速が進行速度より少し速い状況で、ストーン後方の摩擦力が増大する」というものです。この場合ストーンの左側に前向きの摩擦力が加わります(回転速度は減少し進行速度は増加する)。ストーンの底面に前向きの力が加わるので、ストーンを後ろ向きに回転するモーメントが発生し、ストーン後方の左向きの摩擦力が増大します。この説で一応左向きの力は発生しますが、現実の曲がる量に対して十分かどうかは自信がありません(※2)。どなたかすっきりする結論を出してくれるよう願っています。

※1:コップは摩擦が大きいので床面から大きな後ろ向きの力を受けます。これはコップを前に倒そうとするので、コップ前方の右向きの摩擦力を増大させます。この現象については理論的に確立しているみたいです。
※2:この場合も周速と進行速度が一致する点は存在します。ただそれは結果的にそうなっているだけで、曲がる原因ではないという点が「旋回説」とは異なります。その他、投げた時の回転速度が速かったりスイープしたりすると曲がりが小さくなることなども定性的に説明できますが、投げた時の進行速度の初速より周速のほうが小さいことなど、解決すべき課題もいくつかあるのも確かです。

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