ケン・リュウ著 古沢嘉通編・訳

〈ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞受賞〉母さんがぼくにつくる折り紙は、みな命を持って動いていた……。史上初の三冠を受賞した表題作など全15篇を収録した、日本オリジナル短篇集英語圏のSFの代表的な賞である。



ヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞の三冠を受賞した表題作をはじめとする中国出身の作家ケン・リュウ氏の短編集です。

不思議な折り紙を折る母親、地球が滅亡散々となり脱出を図る家族の話など、SFらしい設定も楽しめますが、随所に出てくるのは日本の文化なのです。それも九州、鹿児島、久留米市など身近な地名が出て、親近感が湧きますね。

とくに「もののあはれ」、という作品では日本の詩、芭蕉の詩などが出てくるのですが、日本の文化、感受性を実に豊かに表現されており、喜びと驚きを禁じ得ません。

世界から見た日本の姿や文化を知ることができるようで嬉しく感じます。ケン・リュウさんの感性は素晴らしいですね。

作品自体も斬新な世界観と繊細な想像力で織りなされて、文学の素晴らしさを久々に感じました。ご興味のある方は一度ご覧下さい。図書館に置いてあります。

三体

三体

父を文化大革命で亡くし、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔。彼女が宇宙に向けて秘密裏に発信した電波は、惑星〈三体〉の異星人に届き、地球を揺るがす大災厄を招くことに……! 中国で社会現象となったアジア最大級のSF小説、ついに登場!

謎の惑星<三体>の異星人が地球に来ることがわかり、
そのための対策を練るために地球人が奔走する、というSFの物語です。
中国のSF小説を読んだのは初めてなのですが、
とても面白い物語でした。
現代はコンピューターの進化が急激に進んでいますが、
SFの世界は更にその先を行っていますので、想像力を刺激されます。
SF小説は未来のビジョンの参考になりますので、そういった意味でも楽しめますよね。
所々に日本人作家のSF小説のリスペクトが感じられる表現もあって、
ファンならニヤリとしそうな場面もありますね。
2部作、3部作と続いていますので、ご興味があれば更に楽しめそうな作品です。
威風堂々


天保九年(一八三八)二月一六日。九州の佐賀城下にひとりの男子が誕生した。幼名を八太郎。後の大隈重信である。名君と謳われた佐賀藩主鍋島直正(閑叟)に、その才能を見いだされ、同じく熱い志を持つ仲間たちと、激動の幕末へ乗り出した若き重信。西郷隆盛、大久保利通、坂本龍馬、岩崎弥太郎をはじめ錚々たる志士たちと巡り会い、佐賀の、そして日本の未来のために奔走する! 近代国家・日本の礎を築いた偉人の生涯を描く!

以上 出版社サイトより引用。

我が佐賀県の偉人「大隈重信」さんの人生を描いた小説です。
郷土の偉人としてもちろん有名な方なのですが、
伊東潤さんの書かれた小説としてかなり面白い作品となっています。

歴史小説の良さは、誰でも気軽に手に取れて、楽しみながら学べることですね。

幕末〜明治維新の時代の佐賀の偉人の方たちが、いかに革新的であったか、
また佐賀藩で学ぶ藩士たちがいかに、学びと行動力に飛んでいたかが伝わります。
インターネットもなかった時代に、海外の動向を知り、危機意識で奔走した若き佐賀人の
姿に大変勇気付けられます。

学びとしてやはり大切なのは教育。
せっかくの才能を眠らせず、伸ばしていくのは知識と先人たちの視野の広さと未来の展望ですね。
今の時代にも変わらない教訓だと思います。

郷土を知る本としてもおすすめの1冊です。


   1   
(3件中 1-3件)